第2章 公休日 〈津軽目線〉
俺は、ウサに愛想をつかされたのだろうか?
だって、宝石店に入るだと?
俺は、いつから、こんなに女に対して、臆病になったんだよ。
尾行をしながら、遠巻きに宝石店のウサと男の様子を見ていると
「あ!津軽さん!こんなところで何してるんですか?」
少年課の女の子達に囲まれた。
そうだよ。これが、普通だろ?
なんで、俺が、女の子尾行してハラハラしてんだよ!!
「ちょっと、仕事中でさ。ごめんね」
俺が、そう言うと、
「イケメン拝めたから良かった〜」
と言って女の子達は去って行った。
これが、俺の普通なんだよ!!!
そう思いながら、ウサと男を目で追うと、店員から指輪を出して貰って男と見ている。
(はぁああああああああああああ!!!)
指輪だと!!!!!!!
(はぁああああああああああああ!!!)
もう少し近づいて見ると、婚約指輪!!!
(はぁああああああああああああ!!!)
俺は、思いっきり、傍の鉄柱に蹴りを入れた。
つま先にじぃーんと痛みが広がる。
「痛った!」
なんか、今の俺 思いっきりカッコ悪くないか?
まあ、昨日のウサを見れば、今日どっかに行きたいのは、分かったよ。
それで、ウサを引き摺り回した。
変な、独占欲で。
でも、まあ、鳴子ちゃんくらいと遊びに行くのが、仕事の俺に言いにくかったんだと思った。
それでも、ウサが正直に言わない事にイライラして、尾行した。
まさか、俺の知らない男と宝石店に入るなんて、想定外だ。
いやいや、想定外どころか、有り得ない話だった。
それを、今、目の前で見せつけられて、俺は、どう頭の整理をすれば良いか分からない。
色々考えていると、ウサと男が、宝石店を出て来た。
指輪は、買ってないようだ。
その後も、ウサと男は、三件程 宝石店を回った。
全部、婚約指輪を選んでいた。
ウサって、付き合う男と結婚は、違う男を選ぶタイプの女だろうか?
いやいや、そもそも、公安刑事を退職して結婚など、考えているのか?
この前の捜査でも、多少のミスを注意したら、
「次は、このようなミスはしません!」
って、俺の目を見てハッキリ言ったよな。
ウサが、公安刑事を辞めるのは、考えられない。
夫婦共働きか?
俺は、自分の頭に広がる妄想で苦悩した。
ウサと男は、その後、あっさりと、地下鉄で別れて別々に帰った。
はぁ?