第3章 ※貴方がほしいもの、私がほしいもの※
「目を開けろ・・・」
圧を秘めた声音がキリカの心にじわじわと染み込んでいく。
「・・・・」
惣闇色の双眸と、真紅と黄金の六つ眼。視線が絡まりあった。キリカの心がざわめく。狂おしい焦がれが枯れ葉を舐める炎の如く、身体の中をざあっと広がっていく。
「巌勝様・・・」
囁くように名を呼んだ。この、飢えにも似た衝動を満たせるのはただひとりのみ。キリカは黒死牟の首に腕を回した。自ら、唇を重ね合わせる。
黒死牟がキリカの帯に手を掛けた。口づけを交わしながら器用に解いていく。
「美しい・・・」
一糸纏わぬ肢体を凝視しながら黒死牟が呟いた。キリカは視線に肌を愛撫されているような感覚を覚え、堪らず、頬を火照らせた。
露わになった膨らみに黒死牟が手を伸ばした。掌で包み込むように揉むと、キリカは顎を仰け反らせた。
「あっ・・・、はぁっ・・・」
桃色の蕾を唇で挟むと、蕾はゆっくりと固さを増していく。舌を絡めては吸い上げるように舐められる。
「・・・・っ」
執拗に舐められ、すっかり固くなった蕾に黒死牟は牙を軽く立てた。
ちりちりとした痺れがキリカの肌の上を駆け巡る。思わず、キリカは黒死牟の肩口をきつく掴んだ。
「噛まれるのが・・・、そんなに悦いのか・・・」
ぞっとするほど凄艶な笑みを浮かべた黒死牟が再び蕾に牙を立てる。
「はっ・・・、あぁっ・・・」
先ほどより強く、噛まれた。強すぎる刺激に、キリカはひくひくと全身を震わせた。
「やめっ・・・」
「嘘を申すな・・・、もっと、であろう・・・?」
炯々と輝く六つ眼が、じっとキリカを見下ろした。耳朶をなぞるように低く囁く。
「違うか・・・?」
「違いっ・・・、あぁっ・・・!」
耳朶を甘噛みされ、キリカは高い声を上げた。牙が当てられる度に甘い疼きが生まれる。身震いが止まらない。
「素直になれ・・・、お前が悦ぶ処は知り尽くしている・・・」