第3章 ※貴方がほしいもの、私がほしいもの※
「お前は約束を違えるのか・・・」
「いっ、いいえ!あの、今日はこのあと、お買い物に行こうかと思っていたので・・・」
「逃げる気か・・・、そのような者には仕置きが必要だな・・・」
キリカの両手首を右手で掴むと、身体をぴたりと密着させた。着衣の上からでもはっきりと分かる鋼の如き肉体の感触がキリカの心をどきりとさせる。
「どうなるか・・・、教えてやろう・・・」
「・・・・っ」
真紅と黄金の六つ眼が禍々しい光を帯びた。その妖しい美しさにキリカは息を呑んだ。抵抗をするのを忘れ、惚けたように見入ってしまう。
「そうだ・・・、それで良い・・・」
囁くと、キリカの顎に手をかけた。
「・・・!」
爪の先で顎をなぞり上げる。鋭い痛みに、キリカが顔をしかめた。
「よいか・・・、お前は私だけのものだ・・・。全て私だけのものだ・・・」
耳元で低く囁きながら、キリカの着物の袷を開いた。
「つっ!」
突如、キリカが短い叫びを上げた。肩口を噛まれたのだ。
「んっ・・・・」
ゆっくりと牙が離れていく。くっきりと赤い痕を残して。
「此方にもつけてやらぬとな・・・」
もう一方の肩口に黒死牟の牙が食い込む。先ほどより強く。
「んっ、はぁっ・・・」
苦痛を訴えている筈なのに、その声は何故か甘さを帯びていた。
「良い色合いだ・・・、美しい・・・」
赤く色づいた箇所を愛おしげに撫でる。雪に深紅の花弁を散らしたようだ。何処か倒錯的な美しさは欲を更に掻き立てた。
緩くなった袷に、黒死牟は右手を差し入れた。膨らみの上の小さな蕾に指先で触れる。
「あ・・・、はぁっ・・・」
蕾が徐々に固くなっていくにつれて、まだ触られていない秘部も熱を帯びる。じわりと、綻びかけた花弁に蜜が滲んだ。それが堪らなく恥ずかしくて、キリカは逃げるように瞼を閉じた。
「何故・・・、目を閉じる・・・?」
「それは・・・」