第3章 ※貴方がほしいもの、私がほしいもの※
「あぁ・・・、キリカ・・・」
名を呼ぶ声がとても艶めかしい。黒死牟が快楽を感じてくれているのが嬉しくて、キリカは必死に腰を動かした。
「はぁっ・・・、あ、あぁっ」
胎内で黒死牟のものが暴れ狂っている。花弁に絡み付かれた、それは今にも弾けそうなほど硬く張り詰めていた。
「巌勝様っ、私、もうっ・・・」
「キリカ・・・、私もだ・・・・」
気の所為だろうか。黒死牟の声音から余裕が消えているような気がした。キリカが腰をくねらせると、黒死牟の律動も速くなる。
二人とも絶頂が近い。どちらからともなく両腕を伸ばした。指と指をしっかり絡め合う。
「あっ!・・・はぁあっ・・・、あぁっ!」
その時。黒死牟のものが胎内で弾けた。どくりと大きく脈打ちながら精が放たれ、キリカも絶頂を迎えた。
「ふぅっ・・・」
激しく動き続けたせいか、足腰ががくがくと震えた。力なく倒れ伏す、その身体を黒死牟が抱き止めた。
「巌勝様・・・」
「なかなか良かったぞ・・・」
「・・・本当ですか?それなら良かったです・・・」
甘い声音でうっとりと呟くと、黒死牟の隆々とした胸板に頬を寄せた。
「巌勝様、私に素直になれと仰るから、その通りにしてみたました」
ほんのりと頬を赤らめたキリカが恥ずかしそうに呟いた。たまには、こういうのも良いものだと思った。今まで、黒死牟が求めるままに契りを交わしていたが、自らの欲に身を任せるのも悪くない。
「巌勝様・・・」
顔を近付ける。互いの吐息が掛かりそうなほど近くに。
「今、私も欲しいものを頂きました。お慕いしております、巌勝様・・・」
愛おしい存在の側にいられる幸せをキリカは静かに噛み締めていた。
「私もお前を愛している・・・」
「あっ・・・、巌勝様っ・・・」
キリカの身体を組み敷いた。耳元に唇を寄せ、囁く。
「飽きるまで続けてみようか・・・」
「巌勝様っ!」
「お前が悪いのだ・・・。そのように可愛らしい顔と声音を誘うから・・・」
耳朶から首筋へ、ゆっくり舌を這わせると薄く笑った。キリカ否やはない。
欲が尽きるまで、二人は濃密な交わりを続けた。