第1章 転校生の彼女
高校を聞かれた時、少しドキりとした。
まだ多分、知られてはいけないと思って。
「わぶっ」
俯いて走っているとぶつかって転びかけるも、
目の前には金髪の美少年がいた。
「お…っと、大丈夫ッスか?」
「す、すいません…」
「あ、ねぇねぇ、海常の生徒さん?」
「え?あぁ、はい」
なんだかやけに馴れ馴れしい。
制服を見てもどこの学校かは分からないが他校の生徒なんだろう。
「へー…あ、気を付けて歩くんスよ、先輩!」
「は、はい…」
"先輩"。…その言い方から察するにきっと、受験生なのだろう。
そう言えば笠松くんが入試準備だとか言ってたような…
つまり、昼からは入試の下見ってところだろう。
でも普通あんな早く来ないし…推薦の人とか?
まぁどっちにしろ、やけにキラキラしてる人だった。
まるでモデルか何かみたいにかっこよかったなぁ。
「お疲れ、春乃」
「そんな疲れてないよー」
お母さんの車に乗って、今日のことを話す。
どうやらお母さんも今日からの仕事は上手くやっていけそうだという報告を聞いてちょっと一安心した。
あとは…私が、ちゃんと一人で学校に来れるようにならないと。