第6章 練習試合と彼女
誠凛との練習試合まであと少し。
私はというと2人の後輩と一緒に居た。
「梓は基本的スペック高いねー、ほんと」
頼んだこと以上の仕事をしてくれている。
おかげで私のやることがないぐらいだ。
「うぅ…す、すいません、何もできなくって…」
「えぇ、いいよいいよ気にしないで。初めてで全部出来ちゃう方が凄いんだし。1つ1つ出来るようになればいいんだよ」
三上 梓と伊吹 桜。
片方は元々マネジ経験があって片方はなし。
梓は経験がある分よく働くし気が利く。
一方で桜の駄目さ加減は周りになんでいれたと言われんばかりに浮いていた。
「大丈夫だって桜、春乃先輩の言う通り1つ1つの積み重ねと慣れだもん!
私だって始めた当初は怒鳴られまくったからね!昔の自分見てるみたいだよ!」
「梓、それはフォローになってないと思う。でも、大丈夫。
確かにまぁ昔出来なかったことを棚上げする馬鹿もいるけど気にしなくていいよ。
大体桜に何か言うのってベンチすら入れない奴だからね」
正直言ってレギュラーにはそんな暇がないし1軍ベンチの人は逆によくしてくれている。
まぁ…笠松は除こう。私とか鳴ちゃん以外はからっきし駄目だ。目を合わせることすら出来ていない。
「とりあえず…練習試合がそろそろあるし。2人にはそこで頑張ってもらうね。当日私と榛名は見てるだけの予定」
「し、鎮目先輩も居ないんですか?!」
「ん~そうだけど…桜ちゃんが居て欲しいって言うなら」
「セクハラです鎮目先輩」
「大丈夫だよ、他のみんなも居るから」
桜には正直慣れてもらうのが最優先だ。
言っちゃなんだけど習うより慣れろ。大丈夫だって。
勉強と同じ。数をこなせばどうとでも案外なるもの。