第5章 黄瀬君と私
一応一歩前に出て印象良く。
「海常高校3年の男バスマネジ、小咲 春乃って言います。
えぇっと…今日伺った理由は多分どうせあの馬鹿な黄瀬君の言うことなんで次の練習試合の相手がここで…えぇっと、友達?がいるから来たんだと思います。
ほんっとうに馬鹿ですいません…」
お恥ずかしい限り。頭を抱えたくなるレベルだ。
「…あの、」
「はい?」
気が付くと目の前には男の子が居て。少々面喰ってしまった。
何か聞きたげな顔だったがその声は黄瀬君に阻まれた。
「そ!次の相手ここって聞いて黒子っちが入ったの思い出したんで挨拶にきたんスよ。
中学の時一番仲良かったしね」
「フツーでしたけど」
「ヒドッ!!!」
なるほど。彼が黄瀬君と同じチームだった黒子君、か。
帝光という強豪出身には見えないけれど…
しかも親しげだしレギュラーだったのだろうか。
「ね、せんぱーいっ!ちょっとこれ預かってて」
「え?あぁ…うん、ごめん聞いてなかった」
「えぇぇ?!もー!今度はちゃんと見ててよ?」
「はいはい」
押し付けられたのはネクタイと制服のジャケット。
一体何を始めるのかと思いきや向こうのでっかい子と1on1を始めた。
その動きは多分練習中じゃ見たことがないぐらいのキレだった。
「ん~…これは…ちょっとなぁ~」
あ、なんか。馬鹿なこと言いそう。
「こんな拍子抜けじゃやっぱ…挨拶だけじゃ帰れないスわ。
やっぱ黒子っちください。海常おいでよ。また一緒にバスケやろう」
「なっっ!?」
ほらやっぱりだー!!笠松ならここでシバいてる。
向こうもびっくりだし私だってびっくりだよ。
「マジな話、黒子っちのことは尊敬してるんスよ!こんなとこじゃ宝の持ち腐れだって!ね、どうスか?」
「そんな風に言ってもらえるのは光栄です。丁重にお断りさせて頂きます」
「文脈おかしくねぇ!?」
ほんっとうにこいつ脳みそ足りてるんだろうかとか失礼なことを考えて一つ深いため息を吐かざるを得なかった。
「そもそもらしくねっスよ!勝つことが全てだったじゃん、
なんでもっと強いトコ行かないの?」
その発言で彼の傲慢…言い換えれば自信がある理由が、何かわかった気がする。
「あの時から考えが変わったんです。何より火神君と約束しました」
「キミ達を…"キセキの世代"を倒すと」