第4章 新学年と彼女
適当に動いて働け。
そう言ってすぐに動いたのは少なかった。
「よーっす、小咲ー」
「榛名、」
「はい、希望者の名簿。出身校と名前と動機ね。…で、どうよ」
「んー…多くて2人かな」
「は?!少なくね?」
「多くても邪魔でしょ」
ただでさえ男子ばかりで大所帯なのだから。
これ以上女子まで増えたらキリがないのもある。
というかあまり多くても私が面倒見切れない。
「へー、よく動く子いるけど帝光だったんだ」
「おぉ、やっぱ名門にいた子は違うんだな」
「そうみたい。あとは…さっきから何もしてないあっちの子かな。何もしてないって言うかおろおろしてる」
「悪目立ち?えーと、出身は…照栄か」
「そうとも言える。ま、人にはどんな特技あるか分かんないからさ」
溜息を吐いて時計を見るとそろそろ休憩時間のようだ。
まぁ、どちらにせよもう決めたし。
「マジで?」
「うん。結局さっき言った2人。はい、1年女子こっちー」
「あ、俺居なくなった方がいい?」
「仕事しに行った方がいいんじゃない?」
「ハイ」
さて。賛否両論ありそうな結果にはなりそうだけど。
「1年生の中から2人、選びました。ま、1軍以外にも2,3軍もあるしそっちでも出来る人は出来ますし、
マネージャーにも昇格とかあるし私卒業して居なくなるから
それを狙ってそこで修行するっていうのもありですよ。
えーっと…三上 梓(みかみ あずさ)さん」
「はい!」
「伊吹 桜(いぶき さくら)さん」
「…え、あ、は、はいっ!」
「この2人だけ後は残ってください。何か文句とか質問ありますか
…では、解散です」
・・・抗議の声は無し。
私だったらここでちゃんと理由を問いただすけど彼女たちにそこまでの度胸はないそうだ。
「…あ、あの……小咲先輩、なんで私なんかが選ばれたんですか」
…居たようだ。この中で一番何もできていなかった彼女。
なるほど、度胸はあるし胆も据わっている。
「何もできないってことは教えたらなんでもできるって可能性があるから。
三上さんは基本のスペック高いっぽいしこの場所で一番落ち着いてたから、かな」
その一言で全員がどこか納得したように帰っていく。
そりゃ一部は不満そうだけど。
「男所帯だけどみんないい人だよ、これからよろしくね」
その日私に、2人の後輩が出来ました。