第4章 新学年と彼女
「あれ、春乃先輩!遅かったッスね、どうしたんすか?」
中に入るともう殆どの人がアップを始めていた。
「めんどくさいのに捕まってただけ。…やけに人が多い気がするんだけど」
それもまた女子ばかり。今日は女運でも悪いのだろうか。
「聞いてないんスか?」
「何を?」
「今日、マネージャーの適正審査するらしいんスよ」
「へー。まぁこんなに入って来ても邪魔だしどうせ黄瀬君の顔目当ての馬鹿の方が多そうだしね」
「まぁそうだと思うっス…先輩なら、どうやって適正見分けます?」
体育館の3分の1程度の人数だろう。こんなんじゃ場所がなくって練習にもならない。
はたしてこの中から本当にやる気のあるやつを見つけ出せるのか。
「黄瀬君があの集団に手を振って振り返した女と声あげた女は全部駄目」
「うわ、ってそれ俺使うの?!」
使えるものは使う主義だし。
「コラ黄瀬ェ!!!」
「いぃってぇぇ!!笠松先輩、後ろから蹴るのやめてくださいっス!」
「いつまでもグズグズナンパしてんじゃねぇ!!」
「そう言えば黄瀬君、アップは?」
「うえ、春乃先輩まで!!」
「…君はもーちょい部活を真剣にやろうね。じゃ、私着替えてくるよ」
笠松に引きずられていく黄瀬君を遠目に私自身も更衣室に向かうんだった。