第4章 新学年と彼女
4月もすっかり半ばの春。
1年生も部活にも授業にもようやく慣れてきたかな?という感じでしょう。
「ねぇ、小咲さん。転校生だからってチョーシのんないでくれる?」
まぁ慣れてくればこういう輩も出てくるわけでして。
「バスケ部に寄ってたかってきっも」
「自分はお姫様気取りなわけ?」
これがきっとテンプレートで言うならば香水がキツくて女の前だと黒く男の前だとカマトトぶってるやつなのでしょうが彼女たちはそこそこ派手だけどそんな大きなことする程の度胸は持ち合わせていない、強いて言うならマ○オにおける中ボス手前のダンジョン内の雑魚、というところ。
「別に調子に乗ってるつもりもないしよってたかってるわけでもないけど」
別に私も同い年だしわざわざ敬語であることも必要以上に怯えることだってない。
っていうか彼女たち多分、クラスメイトだし。
1年未満の付き合いで親しくもない私が人の顔を一々覚えてるわけもない。
「アンタはそんなつもりないだろうけど周りの男は勘違いしてるんじゃない?」
「勘違いする方が悪いじゃん。勝手に勘違いする奴は勘違いさせておけばいいと思ってるよ。
それより私、部活行きたいんだけど」
多分、森山君が心配していたのはこれだろう。
別にこの程度の呼び出しも嫌がらせも私には大して意味をなさない。
気にしなければいいのだから。
そう割り切って彼女たちの横を通り抜けると髪を引っ張られた。
「待てよブス」
「私、ブスっていう名前じゃないし離してくれない?」
自分の側に髪を引っ張って元に戻す。
油断し過ぎだろう。そう呆れつつもひとまず私はそのままの足で体育館へと走った。