第4章 新学年と彼女
教室に戻ると鳴ちゃんと奈穂ちゃんが気にかけてくれた。
そして鳴ちゃんは何もされなかった?と聞いてきてそこは何が?と答えておくとほんっと駄目だねぇとか笑ってて。
もしかしたら付き合ってるのがバレてるんじゃと少し思ってしまう。
「森山、珍しく1人にご執心だからさ」
「確かに。前はもっとこう、色んな女の子に声かけてたよね」
「そうなんだ」
「うん。まー、結果は大体ごめんなさいなんだけどね」
なるほど、そう言う人だったのか。
…まぁ、良いかもしれない。多分そう言う人だから付き合えてるのもありそうだし。
「奈穂も声かけられたよな」
「うん。でも当時は彼氏いたからね」
「そうだったの?」
「鳴ちゃんも彼氏いたよ」
「過去形やめようよー、仕方ないじゃん。部活優先したくなるんだもん」
2人は部活>彼氏人間のようだ。スポーツに力を入れているんだから当然と言えば当然なんだけど。
でもごく普通に彼氏がいた、という過去形が飛び出してきて差を少し感じる。
「あれ、小咲じゃん。同じクラスだったのか」
「おはよー榛名」
「あれ、鎮目と知り合い?」
「部活一緒だっつーの」
「そっかぁ、鎮目君もバスケ部のマネジだったね」
そうか、榛名も一緒だったのか。
朝の時点では気付かなかったけれどよく見たら何人か部活の顔見知りがいる。
「ん?」
「どうしたの、春乃」
「いや…なんか見られてるなって思って。気のせいかもだけど」
「気のせいじゃねーだろ、そりゃ。顔は綺麗だもんな、小咲」
「何その顔だけ感」
顔は、って。いや顔すらそんなに綺麗ではないと思うけど。
でも見られている、というか注目されているのは事実だろう。
少し騒がしかったのかもしれない。次から気を付けよう。