第4章 新学年と彼女
気が付くと寝ていたようだ。
目を開けてポケットからスマホを取り出して見ると10時半だった。
「…寝過ぎた」
2時間目ぐらい、だっけか。
上半身を起こしてぐっと伸びる。
気持ち悪さはすっかり無くなっていてすっかり元気に回復したようだ。
「サボるか」
どうせ途中から出ても意味ないし。
それだったら3時間目までここでゆっくり休むことにしよう。
「サボりは良くないと思うよ」
そう決めたところでカーテンが開いて、恋人の声が頭上から降ってきた。
「もう気分は大丈夫?」
「うん。どうしたの?」
「腹痛」
「えっ」
「って言うことにして様子見に来たんだよ。元気そうで良かった」
森山君こそサボりじゃん。と言うのは抑えておく。
布団を軽くたたんでベッドの上を叩いた。いつまでも立たせるわけにはいかない。
「あー…いいの?」
「だって立たせるの申し訳ないし」
「そうじゃなくて…あー、もう」
「結局座るんじゃん」
「あのね、春乃さん」
「はい、なんですか」
思わずベッドの上で正座してしまう。
名前にさん付けで呼ばれたせいかもしれない。
「俺も男です」
「そうだね」
「学校とはいえベッドです。分かる?」
「…ご、ごめん、なさい」
それはまぁ多分、そう言う意味だろう。
これは完全に私の方に非がある。
なら良し、そう頭を撫でられた。
「あ、っていうかここ学校だけど」
「でも2人きりだし」
「それはそうだけど…」
「俺は好きだけどなー、このどきどき感」
ここは学校で、恋人同士と言うのを隠さなくちゃいけない場で、
でも今はその学校で、保健室で、2人きり。
シチュエーションとしてはある意味完璧だろう。