第3章 俺と彼女
一番綺麗に見えるところに連れて行くと、彼女はスルリと手を離して駆けだした。
「すごい、街全体が春を絵にかいたみたい」
制服のスカートがひらり翻って、こちらを振り向く彼女はとても嬉しそうに微笑んでいた。
「ありがとう、森山君」
まるでそれは一枚の絵のようで。
思わず見惚れてしまうほどに綺麗だった。
藍色の髪が夕陽のオレンジに透けてキラキラと輝いている。
「あ、あのさ、小咲さん」
「うん?」
「えーっと…俺と、付き合ってくれない?」
キョトンとした顔も可愛いね!
少し悩むようなそぶりを見せて、彼女は口を開いた。
「いいよ?」
ですよねー!!そりゃ会って一か月も経たないような
「え」
「だから、いいよ?」
「…いやいやいやあの男女交際って意味で」
「そこまで私鈍くないんだけど」
俺は今死んでもいいかもしれない。