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【黒バス】青春微炭酸

第3章 俺と彼女


春休み最終日。
いい加減に振られて来いと縁起でもない声に押されて俺は小咲さんと一緒に帰ることになった。
こういう時のあいつらの団結力は妙にすごいと思う。

「一緒に帰るの久し振りだね」
「うん、そうだね」
「森山君に教えて貰ったおかげでやっと電車にも慣れてきたよ」

隣で楽しそうに話す彼女を見てやっぱり可愛いと思う。
桜が咲き始めたとは言え夕方になると時折肌寒い。

「あー………あのさ、時間ある、かな?」
「うん、平気だよ?」
「じゃあ2個前で降りない?桜が綺麗な公園があるんだ」
「行きたい。その…私、家の近くと学校ぐらいしか行かないっていうかまだ怖くて1人じゃ出かけられなくって…」

まさか。ここまでの段階でオッケーもらえるなんて。
伏目がちな彼女を見てまた、可愛いと思う。
っていうかまつ毛長いし。ほんと肌白い。
秋田には美人が多いってよく言うけどそれは事実だろう。

「わ、すごい。もうこんなに咲くんだ」
「秋田は今の時期はまだ咲いてないの?」
「うーん、咲き始め、ってとこかな。私、青森寄りの方に住んでたから今の時期は咲いてるの見たことないかも」

窓の外をキラキラした目で眺めている。
その横顔を見て真っ白だと思った。白くて、白すぎて、怖いぐらいだった。

「ん?どうしたの、森山君」

こちらを見上げるその目に、俺はどう映っているんだろうか。

「いや、なんでもないよ。あ、そろそろ降りる準備しようか」
「うん」

少し不思議そうな顔をして一緒に降りる。
公園までは少し歩くけど遠くはない。
隣を歩く彼女をチラチラと盗み見ると、街の様子が気になってるようだった。
今度はどこか彼女が目いっぱい楽しめるような所に連れて行こうか、と考える。

「あ、そこ足元気を付けてね」
「うん、ありがとう」

よし。さりげなく手も繋げた。うん、大丈夫。
そのままの状態で歩いてみると、彼女は別に気にした様子はない。
役得、とか、ラッキー、とか。思って。
細くて小さい手だな、とも思った。
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