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【黒バス】青春微炭酸

第2章 部活中の彼女


黄瀬涼太君に常識と上下関係についてちょっとお話したあとで。

「小咲さん、怒ったら怖いですね」
「えっ、怒ってないよ?」
「…小咲、俺絶対に今怒ったと思った」
「怒ってないよ?だって、怒るのって疲れちゃうじゃん」

怒らない。それは私の信条といっても過言ではない。
怒るのってかなりエネルギーを消費するし怒った側も怒られた方も嫌じゃない。だから怒らない。

「それにめんどくさいし」
「えっじゃあマネージャーとか向かないじゃん」
「好きなことをめんどくさいって思うわけないでしょう」

マネージャーは好きでやってる。
まぁ、めんどくさいと思うことはなかった。
強いて思うなら家のお風呂掃除とかまだ終わらない引っ越しの片付けがめんどうだ。

「え、まだ終わってないの?」
「帰ったらご飯食べてお風呂入って寝てる。まだ体が今の生活についてかないから」
「あー、そっか。寮暮らしだったのに急に変わったんだから大変だな」
「うん。でも、今も今で楽しいよ。お母さんとも話す機会増えたし」

全寮制で高校に上がってから母親というか家族と会話自体がなかった。
でも私が高校に上がる頃にはもう夫婦の中には冷え切っていたのだろう。
いや、もっと前。多分、小学校の高学年とかから。
それでも今まで離婚が成立しなかったのは多分私がいたからだろう。

「さ、仕事仕事。今日は人が多いからね」

頭を振って気持ちを切り替えてそう言った。
ふと顔を上げたら笠松たちは笑っていて、一体何の話をしているのか。

「なぁ、小咲」
「ん?何、榛名」
「なんでいつもポニテなの?」
「動きやすいから。そろそろ切っちゃおうかなとは思ってるけど」
「えー、それはそれで勿体ない」
「じゃあ切っちゃう」
「切った姿も見たい」
「じゃあ伸ばす」
「小咲、お前俺のこと嫌いなの?」
「好きか嫌いかで言うなら好き」

そう言うと少し不服そうな顔をしながらも好きにしたらと返ってきた。
うーん。でも、切るにはまだ少し、勿体ない気がした。
綺麗だって初めて褒めてくれた幼馴染との繋がりまで切れてしまいそうで、怖かった。
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