第2章 部活中の彼女
入試の結果も張り出され、春休みになりました。
私は部活にも大分馴染んでいます。
「今日は暑いねぇ…」
「いや、暖かいってそっか。秋田から来たんだもんな」
「うん…すごい、暑い」
普通に半袖でいつも通りマネージャー業に励んでいた。
額には薄ら汗が滲み出てくるくらいだ。
タオル持ってくるべきだったなー、なんて考える。
「おい、小咲」
「!はい、監督」
「明日から今年の一年生が練習に参加する。あとで選手にも伝えてくれ。
それから…キセキの世代、黄瀬涼太を獲得した、と。」
「分かりました」
一年生、か。
そう言えば登校初日のことを思い出す。
あの男の子はここに受かったんだろうか。
そして、キセキの世代の獲得。
10年に1度の天才と呼ばれる逸材中の逸材。
名前は知っているけど顔は知らないな、後で調べなくては。
「休憩!」
と、笠松の声がした。
すぐにいつも通りにみんなにタオルとドリンクを渡していく。
「はーい、お知らせでーす。えっと、明日から一年生が練習に参加するそうです。
そして…キセキの世代の一人。黄瀬涼太を獲得した、と」
その一言で部員がざわつく。
それもそうだ。キセキの世代が入ってきたら今までのレギュラー陣ではなくなることは目に見えている。
そりゃ動揺もするだろう。