第2章 ふつかめ
食器を片付けた後、私が先にお風呂に入る。
カカシは今洗い物中だ。
ちゃぽんと湯船に浸かると、体からじわじわ疲れがお湯に溶けていくようだ。
『ふぅー…』
やっぱり紅に相談してよかった。
相変わらずカカシはご機嫌でちょっと変だけど、以前の2人に戻れた気がする。
こんな簡単な事だった。前もお互い任務があって忙しかったから、ご飯は一緒に食べれる時は一緒に食べようって約束して、何でもない事をお互いに話して。喧嘩は翌日に持ち越さずよく話し合って。仲直りして。
どんどん好きになっていってた。
関係を当たり前のものにせずに、2人で努力してきた。
その関係が結婚って契約になってどこか安心してたのかもしれない。
忙しいって言い訳して、知らない内に諦めて、同じ家にいるのに付き合ってた頃より遠くなってた。
モヤモヤが完全になくなった訳じゃないけどカカシもきっと、最近の関係で何か考えてくれてるんだろう。
目を閉じて口まで湯に浸かる。
突然カカシが扉を開けて入ってきた。
『ちょ!?お皿は!?』
「終わったよ。久しぶりに一緒に入ろう。」
ズカズカ入ってくるので横のスペースを開けるとカカシの上に乗せられる。
付き合い始めよりはお互い少し歳をとった。
それでもまだ逞しく筋肉のついたカカシの身体を背中で感じる。
「…」
『…』
微妙な沈黙と空気が心をそわそわさせる。
『あ、あのさ。』
「うん?」
『なんか、こう…早く帰ってきてくれて、前みたいにカカシと話が出来て、嬉しい…。』
「なーんで俺の奥さんはこんなに可愛いのかな…」
お腹に腕をまわされてカカシにぐっと引き寄せられる。
『いやいやいやいや』
「…なんか不安なことあった?」
『ちょっと…』
なんで気づくんだろう。
やっぱり私もいつもと違うことをしてるからだろうか。