第3章 みっかめ
◇シカマル目線
「…に会いたい」
火影の執務室で大量の書類に囲まれながらカカシはポツリと漏らした。
「この間から早く帰ってるじゃないっスか。今日も早く帰るために仕事やってるんでしょ。さっさと終わらせてください。」
すかさずシカマルが追加の書類の山をデスクに置く。そんなシカマルは早く帰るカカシのせいで目の下にクマがうっすらと出来ている。
「ウチの奥さん昨日めちゃくちゃ可愛かったんだよ?もうあんなの久しぶりすぎて早く会いたい」
「はいはい、そーなんですね。分かりましたから終わらせてください。」
「聞いてヨ!!」
「聞いてますよ!」
ちっ、めんどくせー上司だなと口の中に留めておく。新しいタイプのパワハラだ。
が絡んだ話になるとカカシは途端にポンコツになるし、話は長いし、兎にも角にも他人の惚気などで喜ぶのは恋バナ好きの女子だけであるということを理解して欲しいと常々シカマルはおもっている。
「昨日もさ、紅とミライに会いに行ってさ、ニコニコご機嫌なワケ。そのご機嫌が俺って訳じゃない所が考えものだけど、結婚して何年経っても好きって言ってくれてね〜」
シカマルが返事をしなくてもずっと1人で勝手に喋っている。
お熱い事は良い事だが今の寝不足のシカマルには毒でしかない。
こんな上司だっただろうか?と記憶を遡るが、隠していただけなんだろう。
アスマもこのカカシについては残念そうな顔をしていた。
ついでにの方については『俺の後釜を狙っている…』とかなんとか言っていた。
「そういえば、さん紅先生の事めちゃくちゃ好きっすよね。」
「そうなんだよね〜俺が惚れた理由もそこなんだけどネ。不本意な事に。」
「不本意な事に…」
全くもって意味がわからないが、カカシの手だけはちゃんと仕事のために動いているのでもう少し話に付き合ってやろうかとシカマルは部屋を出ていかずにおいた。
「さ、初めて一緒の任務につく前に紅の友達だって紹介されたんだけどホントに紅の事大好きだったんだよネ。その当時から。」
「はぁ。」
「でね、想像しちゃったのよ。この子は彼氏にもこんな風に一生懸命愛してくれるんだろうなぁって。そしたら自然に目で追うようになってていつの間にか好きになってたよネ。」