第6章 予選、野望、そして仲間
あの日——初めてふたりが恋人として迎えた夜の翌朝、身体のあちこちに残る心地よい余韻が、夢じゃなかったことを優しく教えてくれた。とくに、お腹の奥のほうにじんわり残る感覚は、あの夜の記憶を否応なく蘇らせる。
思い出すだけで心が芯から熱くなる濃密な時間。でも、夢中になってしまいそうな自分に戸惑いがあって、その後何度かあった誘いも、のらりくらりとかわしてきた。
みんなどれくらいのペースでああいうことをするんだろう。それこそ、毎日なんて溺れて現実に帰って来られなくなるんじゃないだろうか。
なんて考えていたら、またあの日の感覚が鮮明に蘇ってきた。触れてくる指、甘い台詞、苦しくも甘やかな深く繋がった時間…。
「何赤くなってんだよ」
「あ…」
唇がそっと重なれば、甘いリップ音が響く。グリーンのキスは、スイッチが入ると止まらない。
「そと、だからここまでっ…」
と、顔を離しても、頭の後ろを手で引き寄せられ、逃げ場を失う。
「たまにはこういうのも、スリルがあっていいだろ」
おでこをコツンと合わせて、誘うような目つきでグリーンが囁く。
「ぜんぜんっよくない」
最近、何をしていてもグリーンのことが頭をよぎって、そんな自分が少し嫌になっていた。
思考がグリーン漬けになってしまったら、強くなるためにパシオに来たという、本来の目的から遠ざかってしまいそうで、頭の中の真面目な私がそれを必死に食い止める。
そんな頭の中の真面目な私を、グリーンのキスがどんどん侵食してゆく。
舌が唇をこじ開け、口腔に侵入し、無理やり舌を絡ませてくる。
「……ねっ、ほんとに…おしまいっ」
「…いつまで我慢させんだよ」