第5章 ※Ever green!④
<epilogue>
パシオに来てから、随分と時間が経った。
毎日のようにポケモン勝負をしては、大会に出たり、トレーナーを育成したりと、慌ただしくも充実した日々を送っている。
世界中から集まったジムリーダーや四天王にチャンピオン、強い奴らがひしめき合うこの島は、オレにとっては夢の島だ。
ポケモンのこと、強くなることだけを考えて過ごす。
それだけでこの島では英雄になれる。
パシオでオレが活躍すれば、きっといつかあいつに届く。そう信じていた。
「——ナナがパシオに?」
「うん。さっきトレーナーズサロンで会ったの!」
いつもの3人でのトレーニングを終えた後、突然のニュースがオレの耳に舞い込んだ。
「マジかよ…」
嬉々とした表情のリーフに対し、苛立ちを隠せないオレは顔を背けた。
「昔のまんまお姉さんになってて可愛かった〜!」
指を組んで目をキラキラさせている。そんなリーフを見て、レッドも嬉しそうに頷いた。
気に食わねぇ。どのツラ下げてパシオに来た?
お前は、オレからジムバッジを奪ってポケモンリーグの頂点に立ち、カントーのチャンピオンになってからここへ来るべきだろ。
何よりも気に入らないのは、急にトキワジムの挑戦から逃げ出して、オレの前から姿を消したことだ。オレがお前をどんな思いで待っていたと思ってんだ。しかも、オレに連絡のひとつもよこさずいきなり現れるとか——
「あいつ…許さねぇ」
「どうしてピリピリしてるの?グリーンだって会えるの楽しみなくせに」
「……?」
ふたりに背を向ける。
苛立ちの理由なんて教えるわけねーだろ。このオレ様がずっと待ってたなんて話したら、どうせからかわれるのは目に見えている。