第2章 Ever green!①
言いながら落ち込んできた。
同じだからわかる。
私はレッド、リーフちゃん、そしてグリーンが大好きで、憧れて、追いかけて。
それなのに、強くなれない自分が許せなくて…。
ほんとは誰よりもそばにいたいのに。
「大好きだから…臆病になっちゃっただけだから」
「ようするに、勝負が嫌になって逃げ出したってわけではないんだな」
「たぶん、ね」
肩を落とす私とは対照的に、グリーンはすっかり機嫌が治り髪を掻き上げご満悦。
私の勝手な想像を話しただけなのに、その人に嫌われてないと分かって安心したのかもしれない。
変わるものと変わらないもの。
性格は昔のままでも、経験と実力をつけて成長したグリーンは、誰よりも魅力的に見えた。
「まいったな、こんなアツい告白は初めてだぜ」
「告白?」
「まさかそこまでオレ様に惚れてたなんて」
なんだか話が変な方向に行っている気がする。
「んじゃ、かわいいかわいい後輩のナナを鍛えてやるか」
「いや、今のはトレーナーさんの話で…」
「オレがいつそいつをジムのトレーナーだって言った?」
「わっ私だって自分とは言ってないっ!」
まるで誘導尋問だ。
全然動揺を隠せていない。
違うと主張し続けても、グリーンは私の気持ちを見透かしたようにニヤニヤしている。
口では勝てるつもりでいたのに、焦って返すせいでどんどんボロが出てしまう。
これじゃあ図星だと言っているようなものだ。
顔が熱い。胸がいたい。
「じゃあ教えろ。ナナはどうしてトキワのジムバッジをあきらめた?」
「だからっ、勝てないからもっと実力つけてから挑もうと思って」
「オレが不在の時、代理のトレーナーに勝ったのにジムバッジ貰うの辞退したヤツがいたって聞いた」
私の顔を、探るような目つきで覗き込んでくる。
「お前だろ?それ」
確かに、何度目かのチャレンジで、グリーンがトキワジムを留守にしている時があって、勝ったけどバッジを貰わず辞退した時があった。
そんなの理由は明確だ。
「だって、グリーンから認められないと意味ないもん。私の目標だから、今でも、ずっと」