第2章 Ever green!①
「たぶん、グリーンの強さに憧れていて、近づきたいのに近づけなくて、その人なりに強くなるためのべつの方法を探していなくなったのかも」
なんだか自分を重ねた回答になってしまった。
すると、グリーンはその言葉が気に入らなかったのか、急に不機嫌な態度を見せる。
「だからって何も言わずいなくなるのは違うだろ」
「もしかしたらプレッシャーになっちゃったのかも?グリーンってなんだかんだ面倒見がいいから、それに甘えている自分がイヤになったんだよ」
よほどそのトレーナーさんを気にかけているのか、質問が続く。
「じゃあよ、そいつがもう逃げないようにするにはどうしたらいいとお前は思う?」
「え?うーーん」
トレーナーさんの気持ちになって考える。
もし私がそのトレーナーさんなら?
いろんな経験を積んで、自信をつけて、そしてきっと…
「何もしなくても帰ってくるよ」
意外な答えだったのか、グリーンは口をポカンと開けた。
「そうか?」
「だってグリーンは何も悪くないもん。いじけて逃げ出したその人自身の心の弱さの問題だし」
「おう、それで?」
「きっとそのトレーナーさんはグリーンが大好きだろうから、戻ってきたらまたたくさん鍛えてあげて!」
そう告げると、グリーンがあからさまにニヤつきだした。
「そういえばよ、オレ様のこと大好きなそいつとさ、最近たまたま会ったんだよな」
「え?パシオに来てたの?」
こくりと頷くグリーン。
会えていたなら、今までの相談はなんだったというのか。
それならちょっと、いや、かなり妬いちゃうけれど…。
「明後日の大会その人と出ればいいんじゃない?」
「だよなぁ。きっとグリーン様に会えて世界一喜んでるよな」
「うん!逃げても無理やりにでも誘ったほうがいいよ!」