第5章 ※Ever green!④
私は悟った。もうあの3人の命はないと。
グリーンは俯き、くぐもった声で笑う。その不気味さときたら、どっちが悪役か分かったもんじゃない。
「よぉ、ここに島中のブレイク団みんな連れてこい」
「はぁ?何言ってやがる?」
「いいから呼べよ。今すぐに」
低い声でボソリと呟いたのと同時に、バディーストーンが夜の暗闇に一際煌めきを放った。
「このグリーン様が、みんなまとめて相手してやるからよぉぉぉ!!」
「「「ギャァァァァァ!!」」」
地獄絵図だ。
暴風が吹き荒れ、ブレイク団は泣き叫び、ポケモンたちは逃げ惑う。
優雅なメガピジョットが、今は破滅の王に見える。ポケモンとトレーナーが似るというのは本当らしい。
と、ボーッとしている場合ではない。
「っ今だよサンダース!あのエネコを連れてきて!」
サンダースはピジョットの攻撃を避けながら、目にも止まらぬステップでエネコを捕まえ、首根っこを咥えて戻ってきた。
「ありがとうございますっ!!」
駆け寄る女の人ににエネコを返すと、エネコは地獄からの生還で安堵したのか、トレーナーの胸に顔を埋めて震えている。
「かわいそうにこんなに震えて。変なおじさんたちに攫われてこわかったわね」
震えているのは絶対にグリーンのせいだけど、水を差すので何も言わないでおく。
その後、風車の町にあったブレイク団のアジトが、グリーンの手によって一掃された頃には、夜はすっかり更けていたのだった。