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【ポケモン】パシオで恋して

第5章 ※Ever green!④



ロマンチックな夜景を眺めながら、キスの余韻にずっとずぅっと浸っていたい気持ちではあったものの——

「それです!ユーザー情報が一致しているので確認してください」

「ふむ、確かに君のだね」

喫茶店のマスターは、ポリゴンフォンに表示されたユーザー情報と私の顔を交互に確認すると、嘆息しながら頷いた。

「はいよ。パシオでこれを無くしたら死活問題だよ!今度からは気をつけなね」

「ご迷惑かけてすみません!ありがとうございます!」

ペコペコと頭を下げて喫茶店を後にする。

展望台からそのままセントラルシティーに帰る予定が、忘れ物のせいで思わぬ寄り道をすることになった。

「再発防止のために紐で結んでおくしかないな。ポリゴンフォンもナナも」

「反省してます。気をつけます」

グリーンは髪をかき上げると、挑発するように鼻で笑った。

「いや、ナナはもうグリーン様に夢中で離れる心配はないな」

ファーストキスの余韻をあっさり吹き飛ばす張本人をジト目で睨む。と、あやすように頭をポンポンと優しく撫でられた。

「ま、あってよかったな。帰ろうぜ」

意地悪したと思ったら急に優しくなったり。からかったと思ったら真面目になったり。

グリーンの一挙一動に振り回されてしまうのは、悔しいけど、彼の言う通り夢中だからなのかもしれない。

それに、迷惑をかけた私が必要以上に落ち込まないよう、敢えてこういう態度で接してくれているのかも?

そう考えると、グリーンってやっぱりなんだかんだ優しい。

「うん。寄ってくれてありがとうね」

忘れ物にはヒヤヒヤしたけど、グリーンと過ごせる時間が増えて、実はちょっとだけ嬉しかった。

タイムリミットが刻一刻と近づき、寂しい気持ちが顔を出す。

(もうお別れか…)

こんなに寂しいのは、それだけ今日が幸せだったからだろう。

グリーンがピジョットをモンスターボールから出し、立髪を撫でているのをぼんやり眺めていると、突然、背後から女の人の悲鳴が聞こえた。

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