第5章 ※Ever green!④
自分のせいで一緒にいられる時間が減るのは嫌だ。
「……大丈夫。行こう」
「でもよ、顔色悪いぜ。真っ赤だし熱でもあるんじゃねーか?」
「きっ、緊張してるだけ」
「緊張っ?」
意外だったのか、グリーンはあっけに取られている。そりゃあ、何回も一緒に出かけているのに今更緊張なんておかしいよね。
「でも、まだ…一緒にいたい」
私が伝えたその言葉に、グリーンはまぶたを大きく開き口を開けたまま固まる。少しだけ顔が赤くなったように見えたけど、その後すぐにわざとらしく声をあげて笑った。
「ほんっと、お前といると飽きねーな」
声が弾んでる。隠しきれないくらいに。
「いつになったらオレに慣れるんだよ」
「慣れないよ。たぶんずっと」
「それじゃあ困る」
と言った後、耳元で囁かれる。
「オレも…そろそろ限界なんでな」
「なっなにがっ!?」
「何がって、言ってもいいけどどうせ気絶すんだろ」
気絶するほどのこと??確かに、この状況でこれ以上刺激を加えられたらどうなるか分からない。
口籠る私をよそに、グリーンはピジョットに声をかける。
「ピジョット。そこの橋の先に降ろしてくれ」
ピジョットはゆっくりと旋回を始め、視界がぐわんと揺れた。
「わぁっ!」
たまらずお腹に回されている腕を必死に掴む。
ピジョットに言う前に一声かけてくれてもいいのに!
「ピジョット!ゆっくり!優しく!」
ピジョットは「わかった」と伝えるように一鳴きする。
すると、背後から笑いを押し殺すように短く息を漏らす音がした。
「あっわざとだ!リーフちゃんに言う!」
「いいぜ?そのかわり、オレ様に夢中なナナをバラすから」
「なってない!」
恥ずかしいやり取りをする私たちを気にすることなく、ピジョットは優雅に風に乗り、目的地へと送り届けてくれたのだった。