第5章 ※Ever green!④
お店で家族にお土産を選びながら故郷の話をして盛り上がったり、ヒウンアイスを食べながら露店を周ったり、予選でお世話になったフウくんとランちゃんに会って話したり…楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
グリーンはどこへ行くにもエスコートしてくれた。発言にはオレ様な一面があるものの、子どもの頃から変わらないその性格にどこか懐かしさを感じ、一緒にいる時間はホッとした。
けれど、今日はいつもと様子が違う。移動中、ずっと私の手を離さない。もし周りの人が見たら、きっと付き合っているように見えるだろう。
というか、これじゃ周りよりも私自身が勘違いしそうだ。これがごほうびだとしたら、ちょっと刺激が強すぎる。
そんなこんなで、ひと通り刺激的な買い物を楽しんだ後、セントラルシティーを後にした。
黄昏時、オレンジの空にピジョットの優雅な姿が影を落とす。
約束通り、グリーンは飛行速度を落とし、ゆったりとしたスピードで目的地へと向かう。私が怖がらないようにと後ろに座り、揺れるたび、腰を軽く抱きしめるようにして安定させてくれた。
肩が触れ合い、息が重なる距離。しかもそれが一瞬ではなく継続するという…。
後ろに座るのより何倍も刺激が強すぎて目眩を起こしそうだ。
「もうそろそろ着く?」
「あと5分から10分ってとこだな」
「わ…かった…」
「おい、大丈夫か?」
グリーンが私の様子を気遣い、背後からそっと顔を覗き込んだ。心配そうに私を見つめている。
耳元に息がかかり、くすぐったくて肩がぴくりと揺れた。
やはり、ごほうびはまだ私には早かった。
一瞬気が緩みくたりと力が抜けると、身体が後ろに引っ張られ、背中のグリーンに身を寄せる体勢になってしまい墓穴を掘る。グリーンは私を落とさぬよう強く抱き寄せた。
「どうした!?熱でもあるのか?」
「ち、ちがう」
「怖いのか?」
ぶんぶんと首を横に振る。前に座るのが、まさかこんなに刺激的だとは思わなかった。そして、優しい言葉を耳元で語りかけられる破壊力もすさまじい。
「ダイジョーブ…デス」
「カタコトになってるじゃねーか。とりあえず戻るか」
「待って…」
グリーンの服の袖を掴む。