第5章 ※Ever green!④
ランチを堪能した後、セントラルシティーを散歩していると、グリーンがこの後の予定について聞いてきた。
「パシオの観光?」
「まだ解散は早いだろ?」
「パシオの案内をちゃんと出来ていなかったからな」と付け加えて、ニヤリと口角を上げる。私が行きたい所に連れて行ってくれるそうだ。
思えば、パシオに来てからというもの、毎日グリーンのトレーニング漬けだった。今日はランチで解散だと思っていたので、まだまだグリーンと一緒にいられると思うと素直に嬉しかった。
「それなら、各地方の名産品があるお土産見たい!」
「おう。いいぜ」
「あと、ヒウンアイスの露店も!」
「いいけど、山盛り食べてたのにまだ入んのか?」
「絶景も見たいなぁ」
行きたいところが次々に浮かぶ。ショッピングだけじゃなく、パシオの街並みや火山に氷河、謎多き遺跡。人工島パシオの観光スポットは多種多様で、考えだせばキリがない。
多すぎて選べないと正直に言ってみると、さすがに1日に全部は周りきれないので、はじめに提案した買い物とヒウンアイス、絶景スポットは1箇所に絞ろうとなった。
だけどひとつ気がかりなことがある。
「ねぇ、今日は優勝のお祝いも兼ねてるんだよね?」
「ああ、ナナへのごほうびだからな」
「だったらグリーンが行きたいところも行こう!」
せっかくのお祝いなのに、私ばかりが楽しんでいてもつまらないし、グリーンへお礼したい気持ちもある。それに何より、一緒に楽しい思い出を作りたい。
「へぇ、お前からそんな風に言ってくれるなんてな。そうだな…」
グリーンは少し考え込んでから、答える。
「買い物の後に景色見に行くだろ?オレが選んでもいいか?」
「高所以外なら…」
「どっちみち移動はピジョットだろ?」
何を今更、と言いたげにしているが、こちらはピジョットの超高速空中飛行にすっかりトラウマになっている。
「急降下はいやだ、急降下はいやだ…!」
「なら歩いて行ける場所にするか」
「え?」
オレ様なグリーンが折れた?
口をポカンと開けていると、グリーンはムッとした表情になる。