第5章 ※Ever green!④
「そういえば、妹にはしないって言ってたんだった」
「妹だったら手を繋がないって?」
「それは……」
キスを寸止めされたなんて恥ずかしすぎて当然言えるわけもなく、俯き口籠る私をリーフちゃんはしばし待ってくれたものの、一向に答えられない私の様子を見て「まさか」とつぶやいた。顔が引き攣ったかと思うと、今度はピカチュウみたいに頬がまっかっかになる。
「付き合ってもないのに、言えないようなことをされたの!?」
私がヘタレすぎて、リーフちゃんをよからぬ方向へ勘違いさせてしまった。
「ちがうちがう!私がいじけて変なこと聞いた時にフォローしてくれただけ!」
「じゃあ妹にはしないことって?」
「言おうと思えば言えるけど、でも…うぅ〜」
私が恥ずかしがれば恥ずかしがるほど、なぜだか隣のリーフちゃんも恥ずかしがって悶えだす。こんなに表情豊かなリーフちゃんは初めて見た。
「もう一度聞くけど、恋人じゃないのね?」
「うん。で、でも、私にとって、普通はそういう関係じゃないとそうならないというか」
「何か嫌なことはされた?」
「うーん、いつもは優しいけど意地悪な時もあって、嫌だって言ってるのにやめてくれないし、気絶しかけた私を見て喜んだり…」
流れでピジョットの件でからかわれたことを愚痴ってしまった。嘘はついていないけど、受け取り方によってはあらぬ誤解を招く説明になってしまったのを、この時の私は気づいていない。
「嫌がるのをムリやり…きぜつ…」
リーフちゃんの瞳から光が消える。