第2章 Ever green!①
「みんなに久しぶりに会えて嬉しくて泣いちゃったの!」
「大袈裟なヤツ。旅に出ていなくなったのはお前だろ?」
「そうだけど…」
2つ歳下の私は、みんなが旅立った2年後にオーキド博士からイーブイを貰い受けて旅に出た。
目標にするには3人の背中は大きすぎた。
3人が活躍するニュースを耳にする度、嬉しさと焦りで心がぐちゃぐちゃになった。
追いつこうと必死に足掻いても、3人との実力の差は開くばかりだった。
「ナナがカントー出た後も、オレはずっと、お前が挑戦してくるのを待ってたんだぜ?」
悪名高いロケット団のボス、サカキが、トキワジムからいなくなり、グリーンがジムリーダーとして後継者に選ばれた。
駆け出しトレーナーだった当時の私は、意気揚々とグリーンに挑戦したけれど、1勝もすることができなかった。
何度挑戦してもグリーンという高い壁を越えることができなかった。
強くなりたくて、追いつきたくて。
このままじゃいけないと思い、私はカントーから出て旅を続けた。
成長して強くなった姿を、誰よりもグリーンに見て欲しかったから。
逃げるようにカントーから出たのもあって、パシオに着いてから3人が滞在していると聞いた時、はじめは不安で仕方がなかった。
自分自身、3人に対して引け目を感じてしまっていたから、昔のように話せるか自信がなかったのだ。
けれど、パシオで数年ぶりに再会した時、3人は懐かしい笑顔を私に向けてくれた。
あの頃と変わらない笑顔だった。
その瞬間、ホッとしたのと嬉しさで胸がいっぱいになり、子供のようにわんわん泣いてしまったのだった。
「お前、ガキの頃とちっとも変わってなくて驚いたぜ。泣き虫で、オレらの後ろくっついて歩いてたあの頃とよ」
「もう泣いた話はいいって!でも、みんなも変わってなくて安心した。あ、でも、グリーンはちょっと変わったかも?」
「更にカッコよくなっただろ!」
「いや…うーん、前より落ち着いた?」
「なんだそりゃ」と呆れた様子で吐き捨てて、砂浜に腰を下ろす。
私も、その隣に座った。