第4章 Ever green!③
「おいナナ」
不意に肩を叩かれる。
「ここへ来てまたいつものウジウジか?」
「だって…」
こんな時なのにグリーンは冷静だ。
「見ろ。あいつらを」
前方に視線を移す。2匹は傷だらけになっても前方を睨みつけ、瞳に強い意志を宿しているように見えた。
「諦めてないんだ。カメックスもサンダースも…」
「それなのにオレ達が諦めたら、誰があいつらを勝たせてやるんだよ」
涙で滲む視界をゴシゴシと拭う。
「勝ちたい、グリーンとあの子達と勝ちたい!」
「ならよく聞け。これから最後の賭けに出る」
「最後の賭け?」
「ああ。おそらく次がオレ達のラストチャンスだ」
真剣な表情のグリーンを、真っ直ぐ見つめながら頷く。
「メガリザードンが、ブラストバーンを準備して炎をチャージしている。だから、こっちが先手を打ってハイドロカノンを撃つ。その後かみなりをあいつにぶちかませ!」
「そっか!ダメージを与えつつ、水に濡らせばかみなりの命中率と威力が…!」
「会場ぶっ壊す勢いでありったけのをお見舞いしてやれ!それで怯んだ隙にオレが2匹とも仕留める!」
「だから」と言った後、何か思い詰めた様に言い淀むグリーン。
視線が重なると、目を細めて微笑みかけられた。
「まかせたぜ。ナナ」
「…うん!」
互いに、決意を込めた瞳を対戦相手へと向けた。