第17章 ペパーミントラブ
トゲピーは、昼寝から目覚めてもずっとマフィティフのそばを離れずにいる。すっかり仲良しさんだ。
そんなトゲピーの警戒心を解くためにも、まずはみんなで味見をすることになった。
「さっそくいただくわね」
ヒナギク博士が、サンドウィッチを口に運ぶ。その様子をペパーくんがジッと見守っている。
博士は、目を閉じて味わいながら、飲み込むと同時にまぶたを開いた。
「……エクセレント!驚いたわ…なんて美味しいの!」
博士のひとことに、ペパーくんはホッとした表情を見せてから満面の笑みになる。
「よかったです!パシオミント特有の癖を抑えるために、臭み消しにモモンのみをブレンドしたんです」
「すばらしいわ!きのみの甘さと酸味がミントの香りといい具合に合わさって全然邪魔じゃないし、むしろフルーツの味を引き立てているわね」
ヒナギク博士は大絶賛。3人で顔を見合わせ、わくわくしながらサンドウィッチに手を伸ばす。味は想像通り絶品だ。みんなでサンドウィッチを頬張りながら、その美味しさに頬を緩ませた。クリームの甘さ、フルーツの甘酸っぱさ、ほんのり残るさわやかな香りに、もうすっかり虜だ。
全部食べ終わると身体が軽くなって、なんだか頭も冴えてきた気がする。気のせいかもしれないし、本当にミントの効能なのかもしれない。
パシオミント、侮るべからず。
「サンダース、おいしい?」
「キュ!」
「ゾロアークも気に入ったみたいだ」
「ほら、マフィティフもたくさん食えよな」
「バウ、あぐあぐ」
トゲピーは、みんなが食べている様子をキョロキョロと眺めながら、少しずつお皿に近寄ってきた。それを見ていたNが、サンドウィッチが乗ったお皿をトゲピーの前に差し出す。
「キミが元気になるよう、みんなで作ったんだ。食べてみてくれないか……?」
Nの言葉を聞き、トゲピーはその小さな手で、小さく切り分けたサンドウィッチをそうっと掴んだ。