第17章 ペパーミントラブ
「使う分量だけバターを室温に戻して、残りは冷蔵庫に入れてくれ」
「はーい」
「ペパー、ボクは?」
「そしたらNは、この生クリームに砂糖を加えて、冷やしながらホイップしてくれ」
「ホイップ…?」
「ああ…えっと、この泡立て器でふわふわちゃんになるまでかき混ぜるんだ」
「N、マホイップみたいになるまで混ぜればいいんだよ」
「そうか…マホイップか。やってみるよ」
「冷やさないとうまくホイップ状にならないからな」
「ならバイバニラに力を借りようかな」
「おいおいっ、ポケモンに手伝わせてもいいけど研究所ごと冷凍庫にすんなよ?」
「ついでにN、お砂糖も加減しながら入れて甘くしてね」
「そうだった、すっかり忘れてた」
「……って、それは塩だ!砂糖はその隣のビンな!」
「すまない」
「いや、そんなシュンとすんなって…」
「先生!バター冷やしたからフルーツ切ってもいい?」
「おう、よろしくちゃん!そこに取り分けたフルーツは、トゲピーに合わせてひとくちサイズにカットしてくれ」
「ペパー、ホイップの甘さをチェックしてほしい」
「どれどれ……って、うまい!?なんでこんなにバニラの風味がするんだ?バニラビーンズ入れてないよな?」
「バイバニラが吐く息で冷やしたからかもしれない。とても甘い匂いがしていた」
「すげえなN!味はバッチリだ!でもこれ以上ホイップすると固くなるから一旦クリームはこれでいいぜ!」
「ならボクもフルーツを切るよ」
「N、そっちは切り終わってるからこのイチゴよろしく!」
「おわっ!あぶねえ!片手で押さえて切るんだよ!」
「何度やってもなかなか慣れないね」
「わぶっ!?なんか私の口にイチゴ飛んできた!」
「ゴメンよ、でも、とてもキレイな放物線だった。まるでキミに食べてほしくて飛んで行ったみたいだ」
「そんな、イチゴの声まで聞こえるみたいに言う」
「くそっ、ハハハッ!はらいてえ…!」
こうして、賑やかな料理教室は笑いが絶えず、あっという間に時間が過ぎていくのだった。