第17章 ペパーミントラブ
「こんくらいで泣くなんて泣き虫ちゃんだな。べつに泣いてもいいけどよ、食材に涙をたらすなよ」
「うう…ごめんね、でも、だって、マフィティフを…ペパーくんが…よかった、よかったよぉぉ…」
「お、おう…」
ティッシュで涙を拭っていると、ペパーくんが目に見えて引いているのが視界の端に映った。でも、もしサンダースが大怪我をしたら、きっと私も同じようにスパイス探しの旅に出るだろう。そう思うと泣かずにはいられなかった。
「フフッ、ボクはナナの泣き虫で素直なところ、ステキだと思うよ」
「ぐす…っ、私も、Nの知的好奇心とラブで追いかけ回しちゃう純粋なところ、ステキだと思う」
「ナナは正直でわかりやすいからね、安心して話せるよ」
「私もNって嘘つかないから、安心感あるかも」
「なんだあ?アンタも不思議ちゃんか…?」
互いに褒めちぎり、顔を見合わせて微笑みを交わしていると、ペパーくんがなぜか私たちを見て怯えている。
「Nはきっと、ペパーくんとマフィティフのラブをビンビンに感じ取っちゃったんだね」
「うん、お互いを信頼しあい、スキという気持ちで溢れていたから興味が湧いてね」
「はじめは声が聞こえるなんて嘘だと疑ってたけどよ、マフィティフの気持ちを話してもらった時は嬉しくてな…」
Nから、ペパーくんも子供の頃からポケモンと共に育ったと聞く。さすがにNのようなお城ではないだろうけど、ペパーくんにとって、マフィティフは長年連れ添った大事な家族なんだろう。
「話したら、オレたち似た者同士ちゃんだったんだよな」
「そうだね、ポケモンに対する思いもシンパシーを感じたよ」
私としては、ゲーチスに会った時辛そうだったNを見ていたから、Nに気持ちをわかり合える友達がいるというのが嬉しかった。
「それは追いかけちゃうね。興味シンシンちゃんになっちゃうよ」
すると、ペパーくんが料理の手を止めて顔をしかめる。
「おい、まさかオマエまでオレを追いかけ回すつもりか?」
「そんなことしないよっ」
「でもマフィティフは追いかけっこ楽しんでたみたいだ」
「オレはもうこりごりだ」
そんな冗談を交えながら、楽しい時間が流れる。