第17章 ペパーミントラブ
Nの友達だという人は、景色の良い原っぱでポケモンとピクニックをしていた。Nの姿を見つけると、遠くから手を振っている。
「ペパー」と名乗ったその人は、Nからミントを受け取ってうーんと唸った。
「話はわかった。このパシオミントを弱ったポケモンに与えたいけど、飲んでくれなくて困ってるってわけか」
「ああ、どうやら匂いが苦手みたいだ。ペパーなら美味しくしてくれると思ってね」
ペパーくんは料理人を目指しているらしく、料理で人とポケモンを元気にするという夢があるそうだ。まさに、今回の悩みを相談するのにうってつけである。
「パシオで発見された新種のミントか。にしても、独特な香りしてんな」
と言ってから、ミントの葉を指でつまみ、鼻先でくんくんしながら顔をしかめている。たしかにかなりクセの強い匂いなので、どんな料理に入れてもほかの食材の風味をかき消してしまいそうだ。
「で、そっちのあんたは?」
探るような鋭い視線を向けられ、少し緊張しながら頭を下げる。
「ナナはボクのトモダチだよ。彼女と一緒にヒナギク博士の手伝いをしてるんだ」
「よ、よろしくね、ペパーくん」
さっそく人見知りを発動する私だけど、ペパーくんは気にも留めずに挨拶を返してくれた。挨拶のあと、またミントを嗅いで頭を悩ませている。
「あの、ペパーくん、美味しくできそう?」
「そうだなあ、だいぶクセが強い食材だけどよ——」
ペパーくんはニッカリ笑って親指を立てた。
「任せておけ!とびっきり美味しくて元気モリモリちゃんになる料理を考えてやるよ!」
「アリガトウ!」
こうして、とびっきり美味しくて元気モリモリちゃんになる料理を作るべく、ペパーくんの料理教室が開催されることとなった。場所は、ヒナギクポケモン研究所のキッチンだ。