第17章 ペパーミントラブ
「ソーリー、せっかく採ってきてもらったけど、トゲピーには他の治療法がないか試してみるわ」
薬を片付け始めるヒナギク博士を見ながら、Nがなにやら考え込んでいる。
「どうしたの、N?」
名前を呼ぶと、ハッとした表情で顔を上げた。
「ヒナギク博士、パシオミントを少し分けてもらってもいいですか?」
「ええ、あなたたちが採取してくれたものだし、好きに使っていいわよ」
博士からミントを受け取ると、Nはお礼を言って微笑む。そして、とある人のところへ向かおうと誘ってきた。
「最近知り合った、料理の研究をしているト……いや、『ダチ』がいるんだ。彼に頼めば、きっとなにか美味しい料理を教えてくれるかもしれない」
「ダチ?なんだか急にワイルドだねN」
そう言うと、Nはフフッと笑みをこぼす。
「彼がボクをそう呼んでくれたんだ。ボクをダチだと…そして、ダチだからいつでも料理を教えてくれると…!」
あまりにも嬉しそうに話すので、つられて私も笑顔になる。
「うん!じゃあさっそく、Nのダチに相談しに行ってみようか!」
「そうしよう!ナナ、はやく行こう」
はしゃぐNはまるで少年のよう。
なんだか保護者になったような気持ちになりながら、Nの後をついて行った。