第16章 想いを祝福にのせて
「あけてみて」
「ああ」
ラッピングされた袋のリボンをそっと解く。
中から出てきたのは、小ぶりな瓶だった。瓶のラベルには、オレの誕生日と名前が洒落た筆記体で書かれている。
「香水…?お前がこんなおしゃれなもんくれるとは意外だな」
「実はこれ、ただの香水じゃないんだよ!グリーンだけに!特別なの!」
驚かせたくて仕方ないといった様子なので、察していながらも、わざとわからないフリをしてやった。
「どう特別なんだよ?」
ナナは人差し指を立てて、得意げに言い放つ。
「なんと、世界でひとつしかない、私が調合した香水です!」
香水作りは、タマムシジムのエリカから教わったらしい。そういえばエリカは、タマムシシティで香水専門店を経営していて、パシオにも小さな店を出していたっけな。
香水はトップ、ミドル、ベースの3層構造になっていて、ナナがそれぞれの香りを選び、ブレンドや仕上げはエリカが担当したそうだ。