第16章 想いを祝福にのせて
誕生日パーティがお開きになったあと、ナナに誘われてセントラルシティ内にある公園までやって来た。
人気のない夜の公園は、ひと足先にクリスマスのイルミネーションで彩られていた。
「きれい!11月なのにクリスマスなんだね」
手を広げてナナがはしゃいでいる。声や仕草は子供っぽいのに、表情はどこか大人びている。
幻想的な明かりに包まれたナナを見て、思わず息を呑んだ。見慣れたはずのその姿に、どうしてこうも強く惹かれちまうのか。
「そうは言っても、あと一ヶ月だしな」
「そっか、一年あっという間だねぇ」
しみじみと語尾をため息混じりに吐いて、冷えた空気に白い吐息が揺れている。ナナの横顔にイルミネーションの光がちらちらと反射して、やけにきれいに目に映った。
しばらく歩いて、オレンジの光で装飾されたクリスマスツリーの前に差し掛かると、イルミネーションを眺めていた視線がくるりとオレに向けられた。オーナメントの淡い光を瞳に映しながら、ナナはまつ毛を揺らしてはにかんだ。
「で、こんなところにオレを呼び出して、なんの用だ?」
「わかってるくせに」
照れ隠しで口を尖らせてムスッとするナナ。相変わらずバレバレなその誤魔化しに、ニヤけそうになるのを必死で抑える。
「ね、手を出して」
言葉に従って手を差し出すと、ナナはプレゼントをそっとオレの手のひらに乗せた。
「昼間はさ、待たせちゃってごめんね」
「いいって、サプライズだったんだろ」
祝福ではなくまず謝罪なのがいかにもナナらしい。
「あのね、グリーン、お誕生日おめでとう!」
「ああ、ありがとうな」
呼ばれたのが室内じゃなくてよかったと内心ホッとする。明るい部屋だったら、自分の顔が赤くなっているのを気づかれちまっただろう。