第16章 想いを祝福にのせて
少し泣いてしまったのがナナにバレてないか横顔を盗み見ると、
「………なんでお前が号泣してんだよ」
「嬉しくて…つい……不可抗力だからほっといて」
「まったく…」
相変わらず泣き虫だが、おかげで涙が引っ込んだ。
オレの代わりに泣いてくれたナナの手をそっと握り締める。きゅっと握り返してくる華奢な手を、さらに強く握り返す。
「ほらグリーン、もったいぶってないで蝋燭消して!ロウが溶けちゃうよ」
「わかったよ」
バースデーソングの合唱に包まれながら、蝋燭を吹き消した。
その後、ライヤーからの差し入れで食事や飲み物も届き、祝福に満ちた時間は夜まで続いた。