第16章 想いを祝福にのせて
規模でかすぎだろと思いつつ、みるみる機嫌が治っていく単純な自分に苦笑する。
「ごめんグリーン、ケーキの準備が手間取っちゃって遅れたの。今日はサロン貸し切ってお祝いだよ!」
蝋燭が灯る2段重ねの特大バースデーケーキを持ちながら、ニコニコ顔のリーフが階段を降りてくる。その後ろには、サプライズに加担したのであろうライヤーの姿もあった。
「グリーンよ、喜ぶがいい!幼馴染のきずなに感銘を受け、今日はオレ様も盛大に祝ってやることにした!」
「おめでとう、グリーン!」
「グリーンさんおめでとう!」
「オメデトウ…!」
「グリーンさん、今日誕生日だったんだ!おめでとうございます!」
「ボンジュール!グリーンさん!」
「おめでとうございます!」
ケーキの周りに集まる知り合い、仲間、後輩たち。柄にもなく照れくさくなってきた。
「みんな、ありがとな」
隣のレッドは、先ほどまでの困り顔はどこへやら。お祝いモードにすっかり満面の笑みだ。そんなレッドを薄目で睨む。
「なにニヤついてんだよ」
「…!!」
おめでとう、な。わかったわかった。
「…おう」
オレらのやり取りを見て、ナナが堪えきれないといった様子でクスクスと笑う。なんでこいつがいちばん嬉しそうなのかは謎だ。
「グリーン、おめでとう!」
「じいさんもサンキューな」
じいさんは腕組みしながらうんうんと頷く。
「こんなにたくさんの人に慕われて……すっかり立派になりおって!」
こういう時、身内に祝われるのっていちばん照れるよな。
「昔のオレとは違うんだよ」
ガキの頃と比べられたらたまったもんじゃない。
そう胸の中でぼやき、片方の口角を上げる。
「あ、グリーン照れてる」
めざといナナを黙らせるため、誰にも見えないように指で脇腹をつつくと、ナナは肩をびくつかせながら、声を堪えて下を向いた。
仕返しがうまくいって、オレはますます上機嫌だ。