第16章 想いを祝福にのせて
「…!」
「グリーンッ!?」
幼馴染たちのバツの悪そうな顔を睨みつける。
「会議の時間過ぎてんだろ?なんで来ないんだよ」
「い、今用事終わって向かおうかと…」
「だから、なんで会議なのに用事入れてんだよ!」
ムキになりキツく当たってしまったと、後になって後悔してももう遅い。ナナは目に見えて落ち込んだ様子を見せ、しょんぼりと肩を落とした。
「ごめんね…」
わかりやすく落ち込むナナの肩を、レッドがそっと優しく叩いた。その光景を見せつけられ、なぜだか胸の奥がひりつく。
強く言いすぎたか?傷つけるつもりはなかったのに。
と、感傷的になりかけたが、悪いのは約束を守らない目の前のこいつらだったとすぐに思い直す。
レッドとナナへ怒りを宿した視線を向けると、レッドは申し訳なさそうに帽子のツバを掴んで頷いた。
「なんだよ?リーフがそろそろくるから待てって?」
「……!」
オレもバカじゃない。こいつらがなにか企てていてすぐに会議室に来なかったんだと察する。しかし機嫌が戻らないのは、とてもシンプルな理由だった。
「……ったく、なんでさらに待たされなきゃなんねーんだ。戻るぞ」
レッドに見せつけるように、ナナの手を引く。
なにか理由があるにせよ、こっちが会議室で不毛な時間を過ごしている間に、ふたりが笑顔を交わしていた。それだけで、オレをイラつかせるには十分すぎる理由だった。
「ごめん、グリーン」
「謝る暇があんならさっさと行くぜ」
「会議室じゃなく、呼びたかったのはここなの」
「は?」
ナナが立ち止まり、歩いていたオレが手を引っ張られる体勢になる——と、
「グリーン!」
レッドがオレの名を高らかに呼んだ。そして続いてリーフの声。
「お誕生日おめでとう!!」
振り向けば、トレーナーズサロンにいた連中みんなから、祝福の言葉と拍手を浴びせられる。