• テキストサイズ

【ポケモン】パシオで恋して

第15章 マジカルハロウィンナイト




上品な仕草で差し出された手、黒の格式高い燕尾服姿。いつもと違う雰囲気に、一瞬で心が惹きつけられる。

「…どうして、ここに?」

「ダンデから連絡がきて戻ってきたんだ」

「ダンデさん、いつのまに…」

高鳴る鼓動をひた隠し、手のひらにそっと指先を重ねると、グリーンは身を屈めて手の甲にキスを落とした。

(お、王子様のそれだ…!)

ドキリとして背筋がピンと伸びる。

手の甲が発火しそうだ。熱くて、苦しくて、少しの摩擦で火がついてしまいそう。

オニオンくんは、はわわと慌てふためいて両手で顔を隠した。私も内心はわわだけど、なにがなんでもオニオンくんを紹介しないといけない。

ここまで無事に来られたのは、オニオンくんのおかげなのだから。

「あのね、オニオンくんがね、私をここまで連れて来てくれたんだよ。ずっとずーっと助けてくれたの」

「そうか、サンキューな!こいつ怖がりで大変だったろ?」

「と、とんでもないっ……ボクもっ、ナナさんに助けられたので…」

すっかり挙動不審になったオニオンくん。「では」と一言告げて、壁際まで避難してしまった。隠れながらこちらの様子をうかがっている。

「逃げちまったな」

「うん、とっても内気だからそっとしておいた方がいいと思う」

ひとりでいるオニオンくんを心配して、ゲンガーが隣に寄り添っている。その様子に安堵して、視線をグリーンへと戻した。

「踊れるか?」

「みんなが教えてくれたから、なんとなくは」

「みんな?ダンデのヤツ、オレが来るまで盛大にもてなすって言ってたのはそういう意味か」

小声でそう呟きながら、背中にそっと触れてくる。

「そんじゃ、主役はこのグリーン様ってことで」

「はい、よろしくお願いします」

ゆっくりと視界が回り始める。視界の端に、ダンデさんとキバナさんがこちらを見て笑っているのが映り、こっそり笑顔を返しておいた。

/ 452ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp