第15章 マジカルハロウィンナイト
「…また、一緒に遊んでくれますか…?」
「うん、遊ぼう!」
そう返すと、オニオンくんのステップが愛らしくはずんだ。嬉しそうに小さな体でくるりくるりと踊る様は、オルゴールのお人形みたいで愛くるしい。
「あ、ありがとうございます…!では、おすすめの場所に招待しますね…!」
「どんな場所?」
オニオンくんの瞳がぽうっと光る。
「静かで、人気のない遺跡や墓地に…」
「へぇ、考古学が好きとか?」
「いえ、ボクにしか見えないものを…あなたにも知ってもらいたいんです…」
刹那、だらりと流れる冷や汗。
「は、はは…怖くない…よね?」
「平気です…とても落ち着く場所ですし…もしまたあの世に連れて行かれそうになっても…ボクが、ナナさんを守りますから……なので——」
オニオンくんはダンスをゆるりと終わらせ、つないだ手を解いて小指を結び直した。
「——約束…」
契約のゆびきりを交わす。深淵のようなまなざしを向けられ、もう逃げられない。
「ゆびきりげんまん…です」
不思議な夢の中に迷い込んだような感覚。ワルツが頭の中でぐるぐるとループして響く。
「やく…そく…?」
「逃げられない…逃がさない…」
「う…ん」
オニオンくんの瞳に吸い寄せられるように見つめ合う。
「…フフ」
指がそっと離れたのと同時に、三曲目のワルツも弦楽器の残響をふわりと残した。
「……では…このままボクが出口まで——」
「一曲ご一緒しませんか?」
静かな声が、ふっと意識を引き戻した。声の方へ視線を向ける。