第15章 マジカルハロウィンナイト
「だが、キミは勇気がある」
「勇気…?私がですか?」
今までおくびょうって言われてきたし、自分でもそう思ってた。
「ああ、みんなの視線が集まる中、初めてなのに逃げずにオレたちと踊ってくれた。だからもっと自分を好きになってほしい」
ダンデさんが結んだ手を上げてきらりと笑った。
「受け止めるから、回ってみるんだ」
ダンデさんの手に身を委ね、私はその場でくるりと一回転した。ドレスの裾が花のようにふわりと広がる。回り終わって身体がダンデさんと向かい合うと、差し出された腕に再び受け止められた。
「だ、ダンデさんっ!今っ、私すごかったかも!?」
「完璧だ!ホール中のみんながキミのファンになってしまうな!」
「ダンデさん、大げさっ」
「そんなことないさ」
言葉の贈り物は止まらない。
ダンデさんってすごい。
一緒にいるだけで、周囲を元気にしてしまうような不思議な魅力がある。
ダンデさんといると、自分が無敵で最強で、なんでもできてしまうんじゃないかと思えてくる。
「ダンデさん、もう一度今のやってみてもいいですか?」
「もちろんだ!何度でもいいぜ!」
「それは目が回っちゃいます」
ワルツのはじまりは俯きがちだった私だけど、夢中になって踊り続け、二曲目が終わる頃には、顔を上げて笑っていたのだった。
「タイムイズオーバー!最高の時間をありがとうだ!」
「こちらこそ、ありがとうございました!」
ダンデさんとのダンスが終わり、手を引かれながら、小さなパートナーの前にエスコートされる。
「よっ、よろしくお願いします…」
「こちらこそ、よろしくね」
手が離れると、ダンデさんはキバナさんの横に移動した。ふたりとも遠巻きに私とオニオンくんを見守っている。
最後のワルツが始まった。