第15章 マジカルハロウィンナイト
「おっ、オレ様の見立てはバッチリだな!」
「…あのっ、すごく似合ってます…!」
「ふふ、ありがとうございます」
照れくささを押し殺し、笑顔を作って礼を言う。うまく笑えているか自信がないけど、そんな本音も笑みで隠した。
ダンデさんとキバナさんの話を聞くと、ふたりは舞踏会のスタッフで、ワルツの基本ステップをお客さんに教えて回っているらしい。ハロウィンの雰囲気を楽しみながら、本格的な舞踏会を体験してもらうのが、このエリアの狙いだそうだ。
「さぁ、オレと踊ろうぜ!」
威風堂々と誘うダンデさんを遮るように、コツコツと革靴を鳴らしながらキバナさんが私の横に並んだ。
「あいにくだがオレ様が先約だ。そうだよな?」
うやうやしく頭を下げ、フォーマルな所作で私を誘う。
「ハハハッ!既にダンスパートナーを見つけてたのか!ならオレは二曲目にいいかな?」
高身長の歳上イケメンかつスーパースターのふたり同時に言い寄られ、もうこれはすべて夢なんじゃないかと思ってきた。
ドギマギして返事ができない私を見て、オニオンくんが気まずそうにしながら話に参加する。
「あ、あのっ…ナナさん困ってますから、そんな無理やりは…」
ブカブカな袖をふりふりして必死に私を庇っている。