第15章 マジカルハロウィンナイト
「…話したら、きっとまた、ナナさんを怖がらせてしまいます…」
「だいじょーぶ!サイキッカーの女の子に会ったことあるし!」
トンと胸に手を当てて、怖くないという意思表示をする。
「…よかった…ぼっ、ボクのこと、怖くないんですね…」
「うん、むしろ頼もしいよ」
「…ボクが、たのもしい…?」
「うん!とっても」
そう返すと、またオニオンくんの瞳にぼんやりと光りが宿った。
ガタガタガタ。
桶がまた揺れ始める。すると、それに合わせて周りの草木もざわざわと葉を擦り音を立て始めた。
オニオンくんのアホ毛も、さらにぴょんぴょん跳ねている。
不気味ではあるけど、この感じはこの前経験したから、ほんの少し耐性はついている。ほんとにちょっぴりだけど。
「もしかして、オニオンくんが桶とか動かしてるの?てことはオニオンくんもサイキッカー?」
「いえ…」
ゆらあ…と、オニオンくんがゆっくり私に顔を向けた。
「今日はハロウィンですから…見えざるものも楽しんでるみたいです…」
「どういうこと?」
「ボク…4歳の時に、事故で死にかけて…」
「えっ!?」
突然聞かされる衝撃の事実に、驚愕の声を上げる。
「…あの世とこの世を、あっちへ行ったり、こっちへ来たり…」
「こっちに戻ってきてくれてほんとによかった」と思ったものの、話の腰を折るので黙って続きを聞く。
「…で、それ以来、不思議な能力に目覚め、死んだゴーストポケモンの姿も見えるように…」
「そ、そう…なんだね」
つまり、マツバさんと同じ力があるらしい。マツバさんは修行で霊能力を修得し、オニオンくんは事故がきっかけで目覚めたということだろう。