第15章 マジカルハロウィンナイト
「ナナさんは…ホラーが苦手そうなのにどうして来たんですか?」
月明かりの小道にオニオンくんの声が響く。道中ずっと怖がる私を気遣っての質問だろう。
「うーん、理由は誘われたのもあるけど、せっかくだからハロウィンを楽しもうと思って。だけど想像以上に怖くて…」
「そうですね…ゴーストポケモンたちの協力もあって、とても、本格的なイベントになったと思います…」
隣から控えめなため息が聞こえてくる。
「演出は…ボクもいろいろお手伝いしたんです。人も、ゴーストポケモンたちも、楽しめるようにと思って……だから、ごめんなさい…」
「いやいや、みんなすごく楽しんでるよ!私が極度の怖がりなだけだから謝らないで!」
項垂れるオニオンくんを必死になってフォローしていると、いつのまにかカボチャ畑に差し掛かっていた。
カボチャはおばけの顔にくり抜かれたランタンになっていて、あちこちで淡い明かりが地面を照らしている。そのカボチャランタンに紛れて、バケッチャやパンプジンが畑を歩き回っている。
「かわいい…!いろんな大きさのパンプジンがいるね」
「はい…パンプジンは大きさによって役割が違うんです…」
「知らなかった!どんな風に違うの?」
オニオンくんは立ち止まると、おばけのように両手をだらんと前で垂らした。
「知りたい…ですか?」
「うん!」
「…なら、教えます」
ボソリと呟き、うらめしや〜のポーズのままこちらへと向き直る。仮面の下、大きな瞳がぼうっと光った。
その光に吸い寄せられるように立ち尽くしていると、トコトコと小柄なパンプジンが私の足元にやってきた。