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【ポケモン】パシオで恋して

第15章 マジカルハロウィンナイト



男の子は一度俯き、仮面のふちを指でなぞった。仮面から指をそっと離すと、もじもじしながら自己紹介をしてくる。

「ボク、オニオンっていいます。ふ、普段は…ガラルのラテラルタウンでジムリーダーやってます…」

「すごい、ジムリーダーなんだね!私はナナ。カントーから来たんだ」

自己紹介をし返すと、オニオンくんは仮面の下でえへへと笑った。

「ナナさん…!今ならほかのお客さんいないし、あ、アナタに、なにかお礼をしたいです…!」

「お礼なんていいけど、実は私、一緒に来たグリーンとはぐれて困ってるんだ」

オニオンくんは仮面越しに私をじっと見つめ、こくこくと頷いた。

「なるほどです……だからランタン持ってないんですね……実は、あれでお客さんの位置情報がわかるようになってるんです…」

「なら、ランタンの位置を見てどこに誰がいるか特定できるの?」

「いえ…あくまでも位置情報だけで、誰かまでは…」

「そっかぁ。それなら合流は諦めて、出口で待ってようかな」

「つまり…ナナさんは迷子なんですか?」

「う、ん…そう…だね」

不本意ながら、この歳で迷子になってしまった。

「わかりました」とひと言告げてから、オニオンくんは少し離れた場所でスタッフ用の無線で連絡を入れる。トコトコとこちらへ戻ってくると、少し嬉しそうに両手をぷらぷら揺らしながら言った。

「墓地の担当をべつの方にお願いしました。なので…ボクがあなたを、出口までお連れします」

「オニオンくん…!ほんとにいいの!?」

「はい…もちろんです」

「ありがとう、ありがとう…!」

数分後、交代するスタッフが到着し、オニオンくんと墓地を離れた。約束通り、出口まで案内してくれるらしい。

オニオンくんが言うには、この長い迷宮のようなおばけやしきは、ルートがいくつかに枝分かれしているという。そのいくつかあるルートのうち、屋内より外の方が仕掛けが少ないと教えてくれたので、そのまま外のルートを進むことにした。


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