第15章 マジカルハロウィンナイト
「ま、そんだけ耐えたんだからがんばったよな」
「え…?う、うん」
思っていた反応と違くてポカンと口を開けてしまった。
今日のグリーンは無理強いしてこない?けど、その表情はどことなく残念そう?
「…でも、グリーンは最後まで見たい?」
「そりゃあな。でもよ、お前が楽しめてねーのに連れ回すのも違うしな」
「楽しいは楽しいよ?」
「怖いのを口実にオレにくっつけるから?」
「そんなわけないっ」
「お、なんだあれ?」
と言われ、ろくに確認すらせずにグリーンの背中に避難する。だけどすぐにグリーンの嘘だと気がついた。怯える私を見て、嬉しそうにニヤついているからだ。
「よーくわかった。お前は怖くなったら、そうやってオレ様を盾にするんだな?」
「だって、急に言うから思わず…!てか嘘つかないでよ!」
「ほんとに限界なのか試したんだよ。じゃあスタッフ呼ぶからな」
「あ…待って」
ランタンのスイッチを押そうとする手を反射的に掴む。グリーンが驚いたように動きを止めた。
「どうした?」
「……もう少しだけ、がんばる」
グリーンが楽しんでいるなら、あとほんのちょっとだけなら我慢できる。
それに、怖くても、こうしてふたりで歩いていると、きずなの大会を思い出して楽しかったのは嘘じゃない。
「いいんだな?」
「…うん」
「そう言って、即やっぱりやめたは無しだぜ?」
念を押すグリーンにこくりと頷く。
「はぐれないように気をつけろよ」
「わかった」
腕を組み直し、歩き出す。
グリーンがランタンで前方を照らすと、鏡の壁が灯りを反射する。反射しない暗闇の先に道があると見定めて、ぶつからないよう慎重に進んで行った。