第15章 マジカルハロウィンナイト
懇願するようにグリーンを見つめる。「やっぱりやめよう?マツバさんたちの仮装見られたし十分ハロウィン満喫したよ?」と瞳で語りかけてみたけど、レッドのようにうまく伝わらなかった。
「入る前からウルウルして、そんなに楽しみなのか?よかったな」
いやこれ、伝わってるけどわざとわからないフリしているパターンだ。
グリーンは受付からランタンを受け取り、手を結んでくる。
「大丈夫だよ、オレ様と一緒なんだから」
だから心配なんだけども。
「いじわるしない?」
「しないって。お前が限界になったらスイッチ押すから」
ぎゅ、と結ばれた手に力が込められる。何度手をつないでも、それだけで嬉しくなってしまうから困ったものだ。
怖いのは苦手だけど、パシオに来てはじめてのハロウィンイベントだし、楽しいといいな。
「怖いのいたらやっつけてね」
上目遣いで睨むと、グリーンは眉をしかめる。ほんの少し頬が赤い。
「あのな、スタッフとか仕掛けのポケモンを倒すわけいかねーだろ」
「たしかにそっか」
「では、準備ができたらこの先へお進みください。ハッピーハロウィン!」
受付のおねえさんに「ハッピーハロウィン!」と返しながら、期待と不安の入り混じった感情に身を任せ、暗闇に向かい第一歩を踏み出した。