第15章 マジカルハロウィンナイト
「ハハハッ!さすがだなハルト!おかげで説得の手間が省けたぜ!」
ハルトくんは今度はグリーンにサムズアップしながら白い歯を見せて笑う。
「少しでもパシオのみんなに楽しんでほしくて!あ、でも——」
と、今度は話途中でもじもじし始める。後ろ手を組んで躊躇いながら、
「——その、暗闇だからってこの間みたいのは…」
「ししし、しません!」
どもりすぎて舌を噛むところだった。あれから1週間は恥ずかしくて寝る前にうなされていた。もうみんなが見てる前であんなことはしたくない。
「アハハッ!どんな楽しみ方したっていいけど、あまり羽目を外さないようにね」
大人なマツバさんは、笑って和やかに話を収めようとしてくれている。
「まぁ、そこら辺はわきまえてるから大丈夫だ」
(全然わきまえてなかったくせに)
隣でグリーンだけに聞こえるようにぼやくと、グリーンは誤魔化すように涼しい顔で髪をかき上げた。そしてそのまま最後尾に並び、目配せで私を呼ぶ。
「じ、じゃあ、私たちは並ぶので!」
「うん、いってらっしゃい!さぁハルトくん、おばけやしきの宣伝にセントラルシティへ行こうか」
「はいっ!じゃあナナさん、グリーンさん、楽しんで!」
てっきり仮装してるからおばけ役なのかと思ったら、ふたりは声かけと案内が仕事らしい。そんなふたりを見送ってから1時間ほど並んで、ようやく私たちの番になった。